ラインWTとロッド設計

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最終更新日:
2008年3月19日(水)
16:30
 
 
6189
本日の日付:
2017年9月23日(土)
3:49
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ライン・ウエイトを考える

下のグラフは、フライラインの長さ(フィート)とライン重量を、DT(ダブルテーパーライン)とWF(ウエイトフォワードライン)についてグラフ表示したものです。 

例: 5フィートの位置では先端から5フィートまでの総重量を表します。 グレインは、小麦1粒の重さを表す単位で、1グレイン=0.064グラムです。 
出展: コートランド社 コートランド444ライン 

コートランド社のライン重量を例にとったのは、信頼性の高い既製のラインを例にとることで、設計上の一般化の信頼性を高めようとする考えからです。 自作するシルクラインも、このウエイト表を参考にして編み方やコーティングの仕方を加減します。

バンブーロッドを設計するに当って、あるいは、フライロッドを深く理解するに当って、重要な考慮点が、このグラフに隠されています。

フライラインについての標準は、AFTMA(American Fishing Tackle Manufacturers Association)の規定、ラインの先端から30フィートまでの重さの規定、に従います。 ダブルテーパーラインも、ウエイトフォワードラインも、この規定に従って製造されていると考えてよいでしょう。 上記のコートランド社のデータも、この規定をぼぼ守っていることがわかります。 

グラフでは、ほとんどの番手で30フィート(#8,9,10では40フィート前後)まではDTとWFはほぼ同じ重さですが、WFラインは、その後ろ側のランニングラインが細くなっているため、キャスティング・ライン長を考えると、同じ太さであるDTラインと比べ、DTより軽くなります。

言い換えれば、ライン規格は、30フィート、約9メートルまでのラインの重量が規定されているだけなのです。 何故、ライン重量がそれほど重要なのかというと、現在使われているロッド設計プログラムは、ロッドの負荷計算に、ライン重量を元にしているからです。 9メートル以上のラインを出してキャスティングする場合に何が起こるのかを検討して、バンブーロッドを設計する上での重要な考慮点を考えてみましょう。

グラフから分かるDTとWFの相違点は、30〜40フィート以上をキャスティングすると、DTとWFではライン重量が大きく変わってくるということです。 フルラインをキャスティングすることを前提に考えると、WF#5のフルラインは、DTでいうと、DT#3のフルラインよりちょっと重い程度です。 つまり#3ロッドでもWF#5のフルラインが投げられる、ということです。(DT#3のフルラインが投げられるロッドを前提しています。)

このことをロッドの側から考えて見ましょう。 ライン・ウエイトが#4と指定されたロッド(バンブーでもグラファイトでも)があるとしましょう。 #4ロッドはライン番手#4を投げるためのロッドではありますが、共通して言えることは、キャスティング長=30フィート、約9メートルの範囲では、ラインはDTでもWFでも同じような投げ方で投げられる、ということを意味しています。 DT#4をフルラインキャストできるロッドなら、キャスターの力量にもよるでしょうが、WF#6、7のフルラインも同等の曲りで投げられるロッドということになります。

WF#6ラインを、6番ロッドで振ったときに、なぜかしらラインがロッドに乗り切らないってのを感じたことはありませんか? 短距離だと、暖簾に腕押し的で、ラインを長くすると、ああ乗ってきたというような感じ。 このことは、上のグラフから理解できますよね。 ライン番手を指定して、使いやすさにこだわる場合は、WFライン用ロッドはDTライン用ロッドとは別にロッド設計をした方がよさそうですね。

さもなければ、技量を磨き、どんなライン番手でも、どんな距離でも投げられるようになるしかないですね。(^^)

オーダーメードのロッド設計における負荷の下限、標準、上限

DTラインとWFラインの違いのほかに、DTラインを使う場合においても同様なことがロッド設計上あり得ます。 それが設計時のロッド負荷の下限、標準、上限、という考え方です。

負荷の下限というのは、最短のライン長でロッドがどのようにアクションするかということです。 例えば、ラインテーパー部とリーダーだけがロッドから先に出ている時に、ロッドを振ったときに、ロッドの先端だけが曲がるようにするのか、それとも、もう少し、あるいは、ロッド全体がアクションするようにするのか、ということです。 この場合には、ロッドや部品の自重による影響も考慮にいれて設計する必要があります。 負荷が低いほど、ロッド自重の影響が大となります。

標準の負荷というのは、通常貴方が何メートル(フィート)くらいの距離で釣りをするか、ということを前提に、その距離を標準距離とします。 例えば、渓流の上流部で、通常10メートル(33フィート)程度での釣りが圧倒的に多い渓流マンなら、10メートル(33フィート)を標準距離としてロッドを設計します。

上限の負荷は、最大どの程度の距離まで投げられるようにロッドの強さを設計するか、ということです。 フライフィッシャーの中には、”ワシはどんなロッドでもフルライン出せる”という方がいます。 そういう方は、高い技量の持ち主ですから、ロッド設計上は例外として扱います。 その他に、魚をフックした時に、どれくらいまで持ちこたえられるようにするか、も上限の負荷の一部と考えてよいでしょう。 上限の負荷を上手く設計してあるロッドは、キャスティング時は柔らかく、でも大きな魚をフックしたとしても取り込みに苦労しなくて良いような工夫がされています。

ここで知っておくべきことは、ロッド(つり竿)というのは、決して一定の状態でアクションするわけではなく、負荷が軽ければ曲がりが浅いし、負荷が高ければ曲がりが深くなるけれども、どちらの状態も同じロッドのものであるということです。 つまり、#4ロッドと表記されていたとしても実際には何番手のラインでも投げられるのです。 高番手のラインを使えば深く曲がるというだけです。 どれくらいまで(上限の負荷)を考慮してロッドを設計するかが、ロッド設計者の腕のみせどころということでしょう。 また、フッキング時の負荷については、リール(ドラッグ)が付いているんだから、と言う理由で設計の考慮点とすら考えていないロッドメーカーもいるのでしょう。 こういうロッドメーカーは、ロッドは作れるが、はなからロッドの設計などしていないという訳です。

負荷の範囲、下限、標準、上限の負荷をどの程度に前提してロッドを設計するか、が使い良いロッドを設計する考慮点ということになります。 負荷の範囲があまりに広いと、使いにくいロッドになります。 例えば、渓流上流で使う#3ロッドなのに、負荷上限をフルラインなどとすると、やけに硬いロッドを毎回振らされる、ということになってしまいます。 逆に、負荷範囲があまりに狭いと、標準負荷では使い良いロッドではあるが、いざというときに長い距離が投げられない、というようなこともあり得ます。 キャスティングの軽さばかり追求すると、フックした魚が上がらないなんてこともあり得るわけです。

私の師匠の#3ロッドは、#3である割には重いので、おそらく負荷上限を高くとっているものと思われます。 源流部で使うロッドとするには重い感じで疲れます。 (師匠には内緒ですが・・・) 

既製のロッドには、このような上限下限、標準の考え方が明記されていないので、ユーザーが振ってみて自分で判定することになるわけです。 

負荷とロッド・アクション

当HPのロッド・アクションの頁で、Maxはロッドアクションを、標準負荷でのロッド角、Tip先端角、アクション・ゲノム(アクション・パターン)の3点で規定することを説明しています。 このことは、あくまで標準負荷でロッドが、どの程度、どのように曲がるか、を言っているわけです。

それでは、負荷の上下限とロッド・アクションの関係はどうなるのでしょう?

先にも述べましたが、1本の#4、Hardなロッドも、ラインを倍くらいだして負荷を増やせば、そのロッドはもっと曲がるわけですから、そのロッド・アクションは、Medium、または、Softなロッドという状態になるわけです。 このように、ロッドのアクションと番手というのは、負荷の状態によって変わるものだということです。

どの負荷レベルを標準にしてどのように曲がるロッドを設計するか、上限負荷をどの程度にするかを、それぞれお客様に合わせて設計するのが、オーダー・メード・ロッドなのです。 お客様は、いつもはこういう距離で釣りをしていて、こんな要望がある、ということを伝えていただくだけで、ロッドに必要な要素を、Maxが設計して差し上げます。

2006年8月3日投稿

 
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