ロッド角の設計

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最終更新日:
2008年3月19日(水)
16:33
 
 
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本日の日付:
2017年7月25日(火)
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キャスティング・スタイル、ロッド・デフレクション、ラインループの関係

フライ・ロッドの設計は、キャスターのキャスティング・スタイルを知った上で始めるのが大前提です。  キャスターにとってもっとも投げやすいロッドを設計するのが、ロッド設計の目標です。

Maxがロッド・デフレクションによるロッド設計を提唱する背景には、これらの間の関係を科学的に解決するための明快な論理があるからです。

まず、ロッドの曲りとライン・ループ形成の関係を科学的に理解してみましょう。

下のグラフは、DynaRodで作図したものです。 ロッドは、第1局面から、第2、第3、局面へと移動し、第4局面にてストップすると前提します。 グラフ上で、第4局面終了時のロッドの曲りは、AOのカーブで表わされます。 第4局面で曲げられたロッドは、この時点でロッドが停止することで、それまでに蓄積したモーメントを今度は逆に放出することになります。 蓄積されたと同じモーメントで竿を伸ばし、かつ、先端に繋がっているラインを、跳ね飛ばすわけです。 飛び出すフライラインの方向がAEの線で表されます。 Tip先端がABの線上を移動するからです。 AEはその延長線上です。
ロッドBOは、ある一瞬、ロッドが直線に延びた瞬間を捕らえたものです。 

さて、このときのTip先端に押されたラインは、一体、どれだけの距離を飛んで行くんでしょうか。 これを理解するために、時間を次のように前提します。 

ロッドが最大の曲りAOを得てから、一旦、直線に伸び、その後目一杯反発して止まるまでの時間。 つまり、グラフ上で表すと、ロッドAOからロッドCOにいたる時間です。 この時間内に、フライラインのループ形状が決定されます。  

ロッドの曲りAOは、ロッドの反発によってBOの直線になります。 ここでロッド上に残る負荷は、ロッド自体だけになります。 既にフライラインは、ABの距離で加速されています。 更にロッドは、残る力でCOへと反発します。 これは、ロッドがAOからBOに至り、停止するために、移動したAB間のロッド反発の慣性による力と、ロッド上に残るモーメントの残存反発力の合計によって反発します。 大まかな図式を書くと、次のような関係になります。

 

(1):AO時点に蓄積された力=フライラインによるモーメント + ロッド自重(含むロッド部品)によるモーメント

(2):BO時点で消費される力=ロッド自重を直線に戻すための力=ロッド自重によるモーメント+AB間でフライラインを加速するために使う力となります。 速度ゼロからの加速ではないため余りがでる。 第3局面から第4局面に移動する間に、Tip先端のラインはすでにある程度の加速を受けているわけです。

(1)−(2)によって幾分かの力が余分にロッド上に残っています。 これに、AB間を移動した際の、停止によるロッド自重の慣性力が加わります。  (ロッドハンドを緩めて、BO以降反発を殺すような停止方法を取るキャスティング・スタイルでは、多少条件が違ってきます。)

脱線しましたが、いずれにせよ、ロッドはCOで一旦止まると考えましょう。 この時点で、フライライン上の一点(AO、あるいはBOでTip先端にくっ付いていた部分)は、Bの地点でTip先端から離れ、BEの距離を移動することになります。 この距離は、AB間の速度が速いほど、また、BC間の時間が長いほど長くなります。 つまり、時間BC間x速度ABという図式になります。

さて、フライラインに加わる力の方を見てみましょう。 ABの加速で時間BC間に、BEまでに飛んだフライラインは、一旦はその方向にとびだしますが、ロッドがCOと曲がることによって、ECの方向へと引っ張られます。 

力の合成(ベクトルの合成)という理科の科目を思い出しましょう。 グラフ上では、BEの力とBCの力を合成すると、BDの力となります。 一方、長さBEは、実際には(ラインハンドを離さない限り)Cに接続されていますから、C方向に引き戻され、結果として、BGCという形になります。 三角形GECは二等辺三角形ですからBE=BG+GCの長さになります。 

一方、すでに方向としては、B地点にあったラインの一点はBD方向に加速されていますから、結果としてフライラインは、BFCを基本とする形で形成されます。 ラインの先端が丸くなるのは、フライラインの硬さによります。 硬いラインほど丸くなり、柔らかいラインほど、先端が尖がります。

wpe6.jpg (67175 バイト)

 

さて、以上でロッドの曲りとラインループの形成、ラインの飛び出し方向の関係が理解されたと思います。

次は、ロッドの曲りの深さ(ロッド角)と、キャスティングでのロッド停止位置の関係を考えましょう。

ロッドの曲りの深さ、つまり、ロッド角は、上のグラフでは、直線AOと直線OBで作られる角度になります。  ロッド角が大きくなると、つまり、もっとよく曲がる柔らかいロッドの場合、キャスティング・スタイル(特にロッド停止位置)を変えないと、どういうことになるのでしょう。  下のグラフは、ロッド角=27度軟度のロッドです。 上のグラフは、同じライン重量を前提にしたロッド角=21度軟度のロッドでした。 6度のロッド角の違いは、ラインの飛び出し角度の違いに現れます。 また、COの曲りが大きくなることで、ラインループは巾が広くなります。 ラインループはやや上目方向に推移する筈です。

wpe1.jpg (69210 バイト)

次のグラフは、ロッド角=29度軟度の柔らかいロッドです。 ロッド停止位置を10度前に傾けています。 フライラインの飛び出し角度は水平よりやや下目、ラインループは広めですが、ループの方角は水平からやや下目になります。

wpe1.jpg (70302 バイト)

 

以上でお分かりのように、ロッドの曲り、キャスターのロッド停止位置、フライラインの飛び出し角、ループの方向の関係が明確になりました。 

ロッド設計においては、この逆を考えます。 キャスターのキャスティング性向、ロッド停止位置の範囲を前提として取り決め、それからロッド角の決定という手順で、そのキャスター用のロッドを設計していくわけです。

もちろん、この他にもロッド設計上の考慮点はありますが、別の機会といたしましょう。

2007年5月11日

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