曲りによるロッド設計

Home
MRCオンラインショップ
Profile
Blog
BBS
English Home
Email
法規に基づく表示
Link
最終更新日:
2008年7月3日(木)
18:31
 
 
3820
本日の日付:
2017年5月30日(火)
16:21
DynaRod FAQ
DynaRodのご紹介
DynaRodのダウンロード
技術情報
曲りでロッドを設計する方法なんてあるの? あれば、そりゃ〜すばらしいことですね。

実は、それがあるのです。 ご説明いたしましょう。

まず、ロッドの曲りですが、どんな前提で、どう曲がっているのかということをあらかじめ理解しておく必要があります。  たとえば、ロッド先端に錘をぶら下げて曲がっているイメージなのか、それとも、一定の長さのラインを出して一定の速さで振ったイメージなのか、というような前提のことです。 目的とする曲りの前提イメージをしっかりと理解します。 

今ここでは、一定の長さのフライライン(Line Length To Fish)をTip先端から出した状態で、ロッド全体に加速度=4G相当(重力の4倍相当の加速度)が掛かるように、ロッドを縦にして横に振った場合、と前提します。  その前提で、ロッドがこういう風に曲がって欲しい、という曲り方を絵で表すわけです。  当然、フリーハンドでは正確な絵は書けませんから、道具を使います。 下の図がその道具で、Deflection Designer、と言います。



左側の枠に表示されているのが、目的とする”ロッドの曲り”です。  右側のグラフは、アクション・ゲノムといいます。  曲がりの中に埋め込まれている、"ロッド・アクションの遺伝子"という意味です。 このアクション・ゲノムってどこかで見たことがありませんか?  そう、Garrisonさんのストレス・カーブにそっくりでしょう?。 この記事を読んでいくと、Garrisonさんのストレス・カーブが何たるかが、なんとなく分かってくる筈です。 ただし、アクション・ゲノム・グラフの縦軸の単位は、曲り角を表す、度数です。 また、Garrisonさんとの違いは、Garrisonさんのストレス・カーブは、時間経過の概念がありませんが、Maxのロッドの曲りとストレス・カーブは、(つまり,計算には)、時間経過の概念が入っています。 したがって、実際にロッドを振った時を前提にした曲りやストレス・カーブを想定する必要があります。 Garrisonさんの計算モデルを、「静的ロッド・モデル」、Maxの計算モデルを「動的ロッド・モデル」と言います。 PCが昔の大型コンピュータに匹敵するほどのパワーを持った今日、大昔にGarrisonさんが計算尺を元にして作った計算したモデルを、近代化しない理由は全くなくなったと言ってよいでしょう。

アクション・ゲノムには、明確な定義があり、曲がりとの関係を明確に説明できます。 それも、実際にロッドを振ったことを想定した曲りなのです。  ご紹介しましょう。

アクション・ゲノム・グラフの横軸は、1インチ単位のロッドのアクション部を表しています。 アクション部とは、ロッド全長のうち、ロッドハンドが握っている部分より前の部分の長さで、アクション長といいます。 このアクション部の各1インチが何度づつ曲がるか、を表したものが、アクション・ゲノムです。 

はい、そうです。 ロッドの曲りは、このアクション・ゲノムを操作することで描きます。 ロッドの曲りグラフと、アクション・ゲノムグラフは、連動して動くようになっています。 アクション・ゲノムを操作するための、いろんなボタンがパネル上に配置されています。 無の状態から、ゲノム・バンクからあるパターンのゲノムを呼び出すこともできますし、1インチ毎に曲がりの角度を入力することもできます。 呼び出したゲノムを変形させるために、上にシフトさせるボタン、下にシフトさせるボタン。 範囲を指定してスムージングするためのボタン、両端を固定してその範囲内にある特定の部位を上にシフトさせるためのボタン、等等、アクション・ゲノムを好きなように描けます。  その操作に連動して瞬時にロッドの曲りが動くのです。 上のグラフでは、Dickerson 7012のゲノムと曲がりが表示されています。  

ロッドの硬さも操作できます。 上部中央部にある、期待ロッド角の数値を小さくすると硬いロッド、つまりロッド角の浅いグラフとなります。 Tip先端角が、アクションゲノムと密接な関係にあります。 アクション・ゲノムの1インチづつの曲がり角は、1つ前の1インチに対して何度曲がっているか、の数値ですから、これをButt側から足していくと、Tip先端の1インチの角度=Tip先端角になるわけです。  まとめると、ロッド角として、ButtエンドとTipTopを結ぶ角度(ロッド角)を規定し、Tip先端1インチの角度(Tip先端角)を規定することで、おおむねのロッドの性格が規定できます。 さらに、Tip先端角を、アクション長全体に、どういう比率で配分するか、をアクション・ゲノムとして決めればよいわけです。 アクション・ゲノムは、そのロッドを振ったときの曲がり方を、プログレッシブにするのか(右下がり)、パラボリックにするのか(右上がり)、あるいは、コンポジットな曲りとするのか、を決めることになるのです。

もうお分かりですね。 このツールを使えば、どんな曲り方をするロッドも描けるのです。 無の状態から、自分だけのユニークなロッド・テーパーを作り出せるのです。

でも、どうやってロッド・テーパーに変換するの?  知りたいですか?  それは、ひ・み・つです。  DynaRodというプログラムが、その秘密のロジックを内臓しています。最初の前提に戻りましょう。 この曲りに対して、フライラインの長さ、ロッドを振る加速度、部品の配置、などを当てはめて、DynaRodに計算させることができます。 DynaRodは、与えられた前提で、この曲りを実現するためのロッド・テーパーを正確に計算します。  標準より軽い負荷(フライラインを短く、ロッドを振る加速度を小さく)を当てはめると、この曲りのロッド・テーパーは、標準より柔らかいロッドのものになります。 重い負荷を前提にしてテーパーを計算させると、標準より硬いロッドのテーパーが出力されることになります。

当然、この曲りは、当てはめられた条件下で、実際にそのように曲がるということを前提に計算していますから、ロッド設計の目標としては、大変分かりやすいです。  ロッドを横にして、Tip先端に鉛の重りをぶら下げ、ロッドを振る加速度=1(つまりロッドの重さだけ)を当てはめて計算させることで、このように曲がる船釣り用のロッドのテーパーや、丸竹のヘラ竿のテーパー、も計算できます。 当てはめられる条件には、竹の種類(トンキン、破竹、真竹、トウチク、丸矢竹、丸すず竹、等等)、断面形(Round, Quad、Penta, Hex, Octa)、中空構造(Fluted、Dammed、や、中空の深さも)にするかどうか、フライラインの番手、フィッシング長、ロッドの継数、ロッドの長さ、アクション長、フェルールの種類(NS、竹、等)、錘(フライ、鉛、ルアー)、釣れている魚の重さ、なども当てはめられるのです。 カーボン・グラファイトだって、グラスだって、素材テーブルにMOE(縦弾性係数)と重さのファクターをセットできれば、当てはめることが可能です。  錘15号を使うキス釣り用のロッドも設計できちゃうんですね〜。 ルアー・ロッドでも、ベイト・ロッドでも、サーフ・キャスティング・ロッド、当然、フライ用のスペイ・ロッドでも・・・。  夢のような設計ソフトでしょう?

2007年5月23日
 
(c) Copyright 1998-2006 Max Rod Craft All rights reserved.