お箸を作ろう

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最終更新日:
2019年11月3日(日)
14:54
13211
本日の日付:
2023年10月1日(日)
16:58
竹・・・なんとすばらしい素材。 竹の用途には限りがない。
ロッド作りをしていると、裂いて余ったストリップ(竹片)、端のほうをカットしてでた端材、曲がりなおしで折ってしまったストリップなど、いろいろな余材がでますね。 ゴミだと思えば捨てられるんですが、なぜか竹って捨てにくい・・・ ということで、私はロッド作りを始めてからの竹の端材を未だ捨てられずにいるんです。
BFRFに参加していたころ、竹や竹のカンナ屑の有効利用というテーマで議論があったことがありました。 竹炭にする、竹搾液をとる、竹細工を作る、かごを編む、お箸を作る、などなど、沢山のアイデアがでたりしましたね。
以前から、私は余材で何かを作ろうと考えてはいましたが、なかなか手がつけられず、今般、腰痛(今回は坐骨神経痛)にたたられたのを機会に、痛みを紛らわすのに丁度良いので、やってみました。
お箸作りには、バンブーロッド作りのアイデアがたくさん詰まっています。 例えば、お箸用プレーニング・フォームは、ノードレス・ロッドのストリップ作りに応用できますし、基本的に竹削りはロッド作りと同じです。 ロッド塗装の練習にもなります。 ラッピングしたお箸でラッピングの練習もできますね。 もちろん、六角箸を作っても良いわけですね。
ということでロッドを作りたい皆さんのお役に立てるかも知れないと思い、顛末を記すことにしました。 写真は、クリックすると拡大されます。
お箸
何をするにも、先ず、必要最低限の道具の準備が必要です。 お箸を削るにはお箸のテーパー(太さの推移)を知る必要があります。 傾斜のある土台に乗せ、カンナで削ろうというわけです。
そこで台所に行き、引き出しにあったいろんなお箸の太さをノギスで測ったわけです。 家にあったお箸は、男性用、女性用と、太さは違えども一定の法則がありました。 5cm進む毎に1mm細くなるテーパー状になっておりました。 また、男性用のお箸は,長さが23cm、女性用のお箸は20.5cmでした。 取り箸は27cmでした。 
これを参考にしてプレーニング・フォームの仕様を決めました。 たまたま、残っていた樫の角材があったので、これを使用しました。  お箸のテーパーとプレーニング・フォームの仕様お箸のテーパーとプレーニング・フォームの仕様(xlsファイルです)はここクリックしてご覧ください。
プレーニング・フォームを作る
削り台を木で作るには、前提があります。 その上でカンナを使いますから、カンナで台まで削ってしまわないか?と疑問を持つ方がおられるはずです。 Grooved Sole Planeという特別なカンナを使いますので、台を削ることはありません。 ロッドを削るためのプレーニング・フォームにも応用が可能です。
R0010595.JPG (41909 バイト)
Grooved Sole Planeの底
R0010578.JPG (44942 バイト)
樫の角材を3本のボルトで締結する。
角材は巾25mm、高さ33mm、長さ60cm。樫を使いましたがメープルなどのハードウッドでも作れます。場合によってはラワン材でも。
R0010579.JPG (41213 バイト)
竹を四角い棒に削るための土台とストッパー。ストッパーはボルトで押さえる仕組み。   
R0010580.JPG (44200 バイト)
締め付けた状態。
R0010581.JPG (41427 バイト)
竹をテーパーに削るための土台。
土台のスロープは、片端で12mmを上に出し、他の端を角材面にしてボルトで締め付け、そのまま角材に沿ってGrooved Sole Planeで削れば簡単に削れます。 他方のスロープは6mmを上に出して削ります。  
R0010583.JPG (39518 バイト)
こんなスロープ状になります
竹割り
1節間の竹を切りだし、約10mm間隔に割ります。
曲がりなおし
割った竹をカセットガスコンロの上で焦がさぬように熱し、写真のような矯め木で曲がりや反りを真っ直ぐに直します。
R0010585.JPG (41565 バイト)
平行削り
曲がりなおしした竹を四角い平行な角材に削ります。厚みのある竹を削るには、カンナを斜めにして左側を削り次に右側を削り、そして中央を土台と平行に削るようにすると、滑らずに削れます。
R0010586.JPG (40931 バイト)綺麗に角材にした状態。張り合わせて板にしてもいいですね。
R0010587.JPG (43109 バイト)表面の雲紋も捨てがたいでしょう? 雲紋も利用しましょう。
R0010588.JPG (44551 バイト)雲紋の具合でペアを決めます。
テーパー削りのためのストッパー作り
平行削りは縦棒を角材に挟みこんでストッパーにしました。 ストッパーがあると片手で竹を押さえるというやや危ない(切れるので)作業を防げますし、両手を自由に使えるので便利です。 
テーパー削りの場合、写真のようなスペーサーを作り竹が動かないようにします。 作り方は、10mmの角材の隣り合った2面をスロープどおりに削れば出来上がります。
R0010589.JPG (43460 バイト)テーパー削り用ストッパー(=スペーサー)
R0010597.JPG (42023 バイト)こんな風にセットします。
テーパー削り
竹は写真のようにエナメル側が湾曲する癖があります。 削る前は曲がりなおしで真っ直ぐになっても、次第にエナメル側が湾曲してくる傾向にあるので、エナメル側のテーパーはこの湾曲を利用し、裏側だけを土台のスロープに沿って削ることにしました。 長く使っているうちに、両側にテーパーがついているようになります。
R0010591.JPG (40631 バイト)こんな風に自然に湾曲してくるはずです。
R0010592.JPG (44506 バイト)削る位置をマークして位置決め。
R0010593.JPG (39818 バイト)最初のテーパー削りのストッパーにはくぎを使います。
R0010594.JPG (43382 バイト)竹と土台に貫通穴をあけ、頭を切り落とした真鍮のくぎを差込ます。
 
R0010596.JPG (39986 バイト)プレーニング・フォームより上に出た竹を削ります。
R0010597.JPG (42023 バイト)側面を削るときには、スペーサーを入れてストッパーにして削ります。
R0010598.JPG (43578 バイト)削った状態。
エナメル削り
エナメル面の雲紋を残さない竹については、エナメル面をコソゲ落とします。その道具がこれ、スクレーパーと言います。 ない方は切り出しナイフの刃を立ててエナメルをコソゲ落とします。キサゲ、キシャゲと同じです。
R0010599.JPG (42372 バイト)スクレーパー、2種。
仕上げ
角を丸め、先端を尖らせ、表面を細かいサンドペーパーで平らにして完成です。
R0010600.JPG (43499 バイト)左:女性用 中:男性用 右:取り箸
R0010601.JPG (44883 バイト)
 
雲紋を残したお箸もきれいでしょ? お正月用です(^^)
 

塗り
漆塗りの技法に、磯草塗りというのがある。 海草をなでたような模様になることからこの名になったとか。 これにトライしてみた。 擦り漆数回、黒漆と青貝蒔き、色漆の数度の塗り重ねを経て、粗研ぎ。凹みがある場合凹みが埋まるまで色漆を塗り重ねる。 そしてまた研ぐ。 研ぎも粗研ぎ後細かい研ぎ。 胴擦り、磨き粉で仕上げ研ぎをした後、生醤味という最高級の生漆を薄く塗る。 そして磨き。
やってみると、なんと気の遠くなる工程でありましょうか。 これでもまだ簡単な塗りに属します。
漆工芸はこのように手がかかります。 
でも、研いでいくうちに塗りこめた色漆や、青貝の輝きが見え始めると、それまでの苦労も報われます。 偶然にできる色模様、色と色の織り成す綾、磨いた後の奥深い光沢、など作る喜びを大いに味あわせてくれます。
R0010602.JPG (44116 バイト)   R0010610.JPG (45298 バイト)   R0010609.JPG (45196 バイト)
MaxRodが磯草模様でラッピングされる日もそう遠くないかもしれません。(^^)
 
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