フライフィッシングを始めるフライフィッシングの概要についてご紹介しましょう。一般に、「釣り」といっても、海釣り、磯釣り、川釣り、池釣り、岡釣り(ん?)、などと場所を暗示した言い方、また、うき釣り、投げ釣り、ボート釣り、トロール、脈釣り、ふかせ釣り、さびき釣り、とも釣り、テンカラ釣り、ちょうちん釣り、ルアー釣り、などの釣り方で言うこともあります。釣りの対象も、小は、タナゴ、めだか、モロコ(池の)、から始まりフナ、鯉、うなぎ、なまず、ブラックバス、雷魚、そう魚、連魚など、海では、はぜ、このしろ、イワシ、キス、めごち、まごち、鯵、メジナ、黒鯛、真鯛、イナダ、わらさ、ぶり、カンパチ、シーバス等等等、さまざまです。 日本には、たくさんの楽しい釣りがあります。 私たちの先祖はこれらの釣りを発明、発見、あるいは輸入して、楽しんできたわけです。フライフィッシングを始める方の多くは、やはり、これらの先達の遺産である日本の釣りが好きでやってきた人たちが圧倒的に多いのですが、最近では、はじめからフライフィッシングから釣りを始める人たちも増えつつあります。 フライフィッシングという言い方は、形の上では「釣り方」による分類だと思われます。 まず、この釣りは、日本でではなく、イギリスで鱒を釣るために発祥したと言われています。Noble(高貴)な雰囲気と何かロマンを漂わせる雰囲気がこの釣りの世界にあります。 この釣りは、餌というものを使いません。ミミズ、さし、ごかい、といった気持ちの悪い?生餌を使わないのが、最近、若い男女をこの釣りにいざなう理由の一つかもしれません。餌の代わりに、フライという、いわゆる針と一体になった擬餌を使います。このフライの世界も奥の深い世界で、川や湖に住む水棲の昆虫や、周りの木から落ちてくる陸棲の虫、または、小魚、エビ、ヒルなど、魚が食するであろうものならなんでもフライに巻くことができます。ここからフライの世界に入ってくる人もかなりおります。自分で何かを作るのはほんとに楽しいものです。 私などは、自分で作ったフライ各種を額にいれ、会社の机の前に置いて仕事の合間に眺めています。 プロタイヤー(フライを巻く職業)になる人もいるくらいです。プロにならなくても、フライ巻き症候群という病気に近い症状の人が多数おります。フライがどんなものかにつては、当ホームページの「フライを巻く」をご覧ください。(スイマセン準備中です。気長にお待ちください。) フライフィッシングの対象魚日本では、次のような魚たちをフライフィッシングで釣ることができます。 フライでの釣りはその領域をどんどん広げています。 管理釣り場:
河川渓流:
河川本流:
湖沼、河川下流域:
河口:
海:
フライフィッシングの魅力フライフィッシングの魅力は、何といっても、そのキャスティングの華麗さにあります。「River runs through it」という映画がありました(今、レンタルビデオで7泊8日¥300で借りられます)。 ブラッド・ピッツが主演しており、キャスティングと釣りの面白さを見せてくれます。前後にしなやかに振られるロッド、その先を、ピューと音を立て美しい曲線を描いて飛ぶライン。ラインが朝の陽光に照らされてキラッ光る。ラインの先についたフライが水面に落ちる。美しい魚体をした大きなレインボー(虹鱒)がフライに近づくのが見える。胸が高鳴る。フライがくわえられる。ロッドをあおる。「ヤッタァ〜」「ユーリカ!」「バンザイ」「I gotcha!」と思わず叫んでしまう。 フッキングしたレインボーは驚き、流れの上流へ下流へと暴れまわる、ジャンプする、そして潜る。ロッドは弧を描き、高く掲げたロッドの先からラインが水中に引き込まれる。釣り人と魚が一本の糸で結ばれる。(書いてるうちに行きたくなってしまった。) ま、こんな感じです。 典型的な、フライ(フィッシング)病といわれる人々は、ドライフライと言って、水面に浮かせるフライを使います。フライフィッシングの一つの魅力は、このドライフライによる釣りにあると思います。魚が、フライをくわえる瞬間が見えるのですから、その興奮の度合いといったらありません。魚が口を大きく開け、パックンとくわえるところまで見えることがあります。水面より上にあるフライに飛びつくこともあります。また、魚をフッキングしたときにフライラインが「ピシュウッ!」と水飛沫をあげながら音を立てて水面から離れていく光景は夢にまで出てくるものです。(いまから、行ってきます。)中断ドライフライを使う場合は、フローティング・ラインという、水面に浮くフライラインを使います。もう一つシンキング・ラインという沈むフライラインと、ウエット・フライやストリーマー(フライ)と呼ばれる、沈むフライによる釣り方があります。これは、季節や釣り場の状況により、魚が下の方にいる場合に使います。 この場合は、フライをキャストし、フライラインを沈めた後、リトリーブ(小刻みに糸を手繰り寄せる)し、フライがあたかも、生きている小魚や、水生昆虫などに見えるように操って魚に食わせます。あたりは、手繰り寄せるほうの手に、「ググッ!」とか「ガッツン!」と来てラインが引き出されていきます。この時の感触もたまらないものです。 その他、マーカー(目印、浮)をつけて渓流を流して釣るルースニングという釣り方、池や湖でフナ釣りとまったく同じようにマーカーを付けて浮が動くのを待つ釣り方もあります。 要するに、ロッドとフライラインを使ってフライを必要な距離に届けることができる利点をいかせれば、どんな釣り方でもできるのが、フライフィッシングの柔軟なところですそれぞれの釣り方によって、使うフライを考え、こうした方がいい、ああしたほうがいい、と日夜フライを巻くこともこの釣りの大きな楽しみです。行き過ぎるとフライ性出社拒否症候群に陥りますのでご注意ください。フライライン次に、釣り糸ですが、フライラインといいます。この世界では、英語名をそのままカタカナで言う習慣があり、はじめのうちは違和感を覚えることがありますが一年後にはあなたも平気でしゃべっていると思います。フライラインは、テーパー(細い部分と太い部分からなる)がついていて、ラインのテーパーによる重さを利用して遠くにキャストする(投げる)仕組みになっています。フライラインは、一般に、外側を特殊な樹脂でコーティングされた二重構造になっており、その太さ、重さでいくつかの番手であらわされます(後述)。 色々な色のついたものが市販されています。赤、橙、黄、緑、ベージュ、灰色、透明なものなど。絹糸だけで編まれた高価なフライラインもありますが、これから始めようとする方には不要なものです。 フライラインの種類:フローティング・ライン基本的にドライフライで浮かせて釣る場合に使用します。ゆっくり沈むフライと組み合わせて、ラインは浮いているがフライは水面近くを沈んで漂っているというやり方もあります。番手は、#1(一番)、#2、#3、#4、#5〜#10 まであります。ねらう魚の大きさ、使用するロッド、ティペットの太さ、フライの大きさとの関係で番手を決めることになります。 データファイルにこの関係図を入れてありますので参考にしてください。 シンキング・ラインウエットフライ、ストリーマーフライなどを沈める場合に使用します。番手はフローティング・ラインと同様ですが、ラインの沈下速度によって、タイプ I,タイプ II、タイプ III、タイプ IV、と基本的に分類されています。 深い底の方を釣る場合は、タイプIV(速く沈む)、水面下30cm〜60cmを釣る場合はタイプ I や タイプ II などと使い分けます。キャストしたラインが均等に沈むように工夫された ユニホーム・シンキングというタイプのラインも販売されています。 シンクティップ・ライン (フローティング/シンキング・ライン)先端の方だけが沈み、手元に近い部分は浮くラインです。底の部分というより、中層部から水面までを意識してフライを漂わせる場合に使います。 シューティングヘッドフローティング・ラインやシンキング・ラインよりは短くできており、シューティング・ラインやランニング・ラインとつないで先端部を重くし、より遠くにキャストしたい場合に使います。フローティングとシンキングの両タイプがあります。主にシンキング・タイプが使われています。シンキングラインはユニフォームシンクとは言っても長いラインを沈めると、水中でラインが波打ってしまい、リトリーブ(手繰り寄せる)とフライが期待どおりに漂わないことがあります。シューティングヘッドは短めですのでこの欠点をカバーできます。また、つないで使うシューティング・ラインやランニング・ラインは安価なので経済的なシステムです。シンキング・ラインを短く切ってシューティングヘッドとして使う人もいます。フライラインのテーパーフライラインのテーパーは、通常次の4つに分類されます。
表記方法:DT4F は、ダブルテーパー(DT)の4番手(#4)でフローティング・ライン(F)であることを意味します。 WF6S(I) は、ウエイトフォワード(WF)の6番手(#6)でシンキング・ライン(S)タイプ I (スローシンキング)であることを意味します。 ST6S は、シューティングヘッド(ST)の6番(#6)でシンキング・ライン(S)であることを示します。 シューティング・ライン、ランニング・ラインシューティング・ヘッドを投げる場合に使います。モノフィラと呼ばれる通常のナイロン糸のようなもの、フラットビームという断面が楕円形をした糸、フライラインのように外側が樹脂コーティングされたものなど各種あります。選択の条件は、ラインをリールから引き出したときの巻き癖が出るか出ないかです。丸まってしまって、いざキャストというときにもつれて投げにくくなるものもあるようです。バッキング・ラインリールにフライラインを巻くときには、フライラインとリールの間にバッキングラインというリリアン糸みたいな色の着いた糸を巻きます。この部分は、通常は使うことはありませんが、大物がかかったときに糸を出せるようにバックアップするためのものです。バッキングラインを巻くときの注意事項は、リールのスプール(回転部分)より外側にフライラインがはみださないようにバッキングラインを巻く長さを調節する必要があります。リールを購入するときには、リールごとに、DT4F+30YD(ヤード) 、などと仕様が書かれていますので目安になります。(DT4Fはフライラインの番手、30YDがバッキングラインを収容できる長さになります)リーダーフライラインの先っぽにリーダーという透明な先糸をつけます。リーダーもテーパーがついていて先に行くほど細くなる形状になっています。インディアナ・ジョーンズの映画の中で彼がムチを使っている場面を見たことがあるでしょう。ピシッ、パシッとムチがしなり、遠くに飛ぶのは、手元から先にかけて次第に細くなっているからです。フライラインをキャストしたときにフライラインの先っぽについたリーダーとティペットでフライラインより更に遠くにフライを送り込むためのしくみです。フライラインには色がついており、太さも魚が認識できるほど太いのでこのしくみが必要になります。リーダーも、太さ、長さによりいくつかの番手があります(後述)。ティペットリーダーの先端は細くなっており、もっとも細い部分をティペットといいます。他の釣りで言えば、いわゆるハリスにあたる部分です。一般に、リーダーの先端は購入と同時に約60cmくらいを切って捨ててしまい、ティペットといわれる細い透明な糸を敢えて結び直すことがなされます。ティペットがラインシステム中でもっとも細い部分なので、巨大な魚がかかったり、障害物に針が引っかかったときに、捨てても良い部分となります。また、魚から糸が見えにくくなるように繊細で張力のあるティペットが必要になります。さらに、一日釣りをしていると、何度も、フライを取り替えます。フライはティペットに直接結び付けますから、取り替えていくうちにティペットがだんだん短くなっていきますし、劣化もしてくるわけです。その場合は、再度、最初にティペットを結んだあたりでカットし、新しいティペットに取り替えます。ティペットは、その細さでいくつかの番手があります。フライフックフライフィッシングで使う釣り針のことをフックといいます。フライフックの特徴は、いわゆる糸をつなぐ部分に丸い穴(これをアイ,eyeと呼ぶ)があいていることです。フックには、大きく分けると、ドライフライ用(軽く細めにできている)、ウエット・ニンフ用(太く重目にできている)、ロングシャンク(胴体の部分が長いもの)など各種あります。さらに、形状により、各メーカーが色々な形のフックに番号を付けて販売しています。フライフックの大きさは覚えた方がいいでしょう。季節、釣り場の状況などにより、フックのサイズを選択する必要があります。通常は、ドライフライの場合は、#14を通常と考え、#16、#18、がやや小さ目です。#20〜#28などになると、ミッジサイズと呼ばれ「こんなんで釣れるのかいな」と思うほど小さなものがあります。ニンフ(水生昆虫の幼虫を模したもの)を巻く場合は、ニンフ用のやや大き目のサイズ、#12、#10、#8などを使います。番号が小さいほどサイズが大きく、番号が大きいほどサイズは小さくなります。フライのパターン集や、雑誌のフライパターンの紹介記事には必ずこのフックサイズが書いてあります。フライ・ロッドロッドの素材:さて、肝心の釣竿です。いくつかの素材を使ったロッドが市販されています。グラスファイバー製、カーボングラファイト製、トンキンバンブー製、日本の竹を素材としたバンブーロッドなどです。グラスファイバー製のロッドは、軽く安価です。最近グラスファイバーのロッドが市場に出回りつつあります。 多くのフライロッドがカーボングラファイト製です。最初に購入するロッドはこれが無難でしょう。値段もそこそこです。バンブーロッドは、竹の持ち味をうまく使ったすばらしいロッドが多いですが、高価です。入門者はグラスファイバー製か、カーボングラファイト製から始めるのがいいでしょう。 ロッドの選定:フライ・ロッドにも、いろいろな種類があります。その選定にあたって目安には、ロッドの長さ、ロッドの番手、何本継ぎか、ロッドの硬さ柔らかさ、等があります。ロッドの長さ:ロッドの長さは、どんな場所で釣るかによって決めます。フライフィッシングは、ラインの重さを利用して遠くに飛ばすことのできる釣りですから短目のロッドでもそこそこラインは投げられます。が、たとえば、湖や池で使う場合と、小さな小川のようなところで使う場合とでは、区別したくなります。通常は、7フィート半(7’6”)から8フィート半(8’6”)くらいを持っていれば管理釣り場でも渓流でも使えます。いろいろな場所に行くようになったらまた別の長さの番手のものが欲しくなります。そこまで考慮して購入するなら、7’6”の#4を一本、8’の#6を一本、あらかじめ予定を立てて購入するのも良いでしょう。ロッドの番手:前に、フライ・ロッド、フライ・ライン、リーダー、ティペット、フライ・フックには、相互関係があることを書きましたが、一般に、フライ・ロッドには、対応するフライ・ラインの番手が指定されていますので便利です。通常、#4を持っていれば、15cmくらいの岩魚、ヤマメから30cmくらいの虹鱒であれば万能です。#3/#4と表示されている場合は、3番でも4番でも使えるという意味になります。何本継ぎか:ロッドの継ぎ数は、ロッドをつながない状態での長さが持ち運びの便に関係します。同じ7フィートのロッドでも、2本継ぎの場合は、1ピースが3フィート半になりますが、3本継ぎの場合は1ピースが2フィート4インチになり短くなります。パックロッドと呼ばれる継ぎ数の多い(4ピースや5ピース)ロッドもあります。旅行に持って行けるような長さになります。ロッドの硬さ:ロッドを振ると、硬いロッドと柔らかいロッドがあるのが分かります。硬いロッドはファスト・アクションといって、速いライン・スピードで、出来るだけ遠くに投げたいような局面に向いています。逆に、柔らかいロッドはスロー・アクションと呼びます。ゆっくりとしたライン・スピードで適当な距離を飛ばすのに適しています。魚がつれたときには、ロッドが柔らかいので、小さな魚でも引き味を楽しむことができます。 中間がミディアム・アクションです。キャスティングの感じも、釣れたときの引き味もそれぞれに異なります。ロッドは好みで選ぶことが多いようです。硬いロッドは、投げやすいし遠投も可能ですが、魚がかかったときにティペットが切れやすいとか、小さい魚がかかったときに魚が飛んでくるなどといった現象もあります。最初は、ミディアム・アクションがよろしいでしょう。 リールリールにもいくつかのタイプがあります。インナースプールとアウタースプール。インナースプールは、 回転部分が内側にあり、取っ手とともに回転します。外側は動かないしくみです。アウタースプールは、 取っ手とスプール(回転盤)が外側についているタイプです。アウタースプールは構造が簡単で価格も インナースプールタイプよりも安価ですが、多少の難点もあります。スプールとスプールガードとの間の 隙間からラインが出てしまうことがありますので注意して選定しましょう。フライフィッシング用のリールには、ドラッグ機構がついていますが、これはラインが引き出されるときの リールの抵抗を強くしたり弱めたりするだけです。海釣りのリールのようにリールを巻いているあいだも ラインが引き出されることがありません。したがって、大物がかかったときに、ラインが引き出されるまま するには、取っ手から手を放しドラッグ機構に任せきるか、パーミングといって手のひらで アウタースプールの縁を押さえるようにします。インナースプールの場合は、それこそ指でスプールを押さえてドラッグ機構を補足します。たいていのフライリールは右巻き用、左巻き用に設定変更ができます。リールのサイズもも対応するフライ・ラインの番手であらわされます。釣りに行くときに必要になるもの一覧
バランスタックルフライフィッシングの道具をタックルといいますが、タックルのバランスをあわせる必要があります。